朝。
午前3時半。
まだ暗い、静かな中目覚める。
これからゆっくりと、いろいろなものが動き出そうとする気配が漂う静けさ。
済んだ空気が、淹れたてのコーヒーの匂いに染まる。
自分だけの静かな時間。
のんびりと、始まりの準備をする。
自転車で家を出る。
月と星がまだ見える。
坂道では、今日の自分をチェック。
すいすい登れるとき。
重いとき。
学校に近づくころ、朝日が昇り始め地平線沿いにじっくりとオレンジが広がっていく。
空が濃い青から薄い青へとグラデーションがかっていく。
時には、まだ星空のまま。
時には、すでに薄い空になっている。
季節を感じる朝の空。
朝が始まる。
夜から朝へ。
職場に着くと鍵を開ける。
鍵の締め方で、なんとなく最終退出者が分かる。
警備会社に連絡をする。
一日で一番始めに声を交わすのは、いつもこの人たち。
どんな顔をしているんだろう。
誰かが来るまで、またゆっくり自分の時間。
ゆっくりだけど、集中して、仕事にかかる。
「朝のリレー」
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交換で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
(谷川俊太郎「谷川俊太郎詩集 続」思潮社 より)
中学生の頃から大好きな詩。
この詩を読むと、パワーが湧いて来る。
朝を感じると、この詩が思い浮かぶ。
朝が好きだ。
やりたいこと、楽しみなことがいっぱいあるから、いつだって楽しみに起きられる。
さあ、今日はどんな一日になる?
昨日の自分から今日の自分へ。
どんな一日も、どんな自分も繋いでいこう。
繋がってる。